コレクション: アンダーグラウンド・コミックス|UNDERGROUND COMIX

若者の叫びが線になり、ムーブメントになった物語!

アンダーグラウンド・コミックスカルチャーとは、メインストリームの「きれいで安全な漫画」から飛び出し、社会の裏側・若者の本音・アウトサイダーの感情を、むき出しのまま描いた“反骨系”コミックムーブメントのこと。

1960〜70年代のアメリカで、ロバート・クラムらがZINEのように自分たちで刷り、ストリートで売ったのが始まりで、政治、性、暴力、カウンターカルチャー、音楽、ドラッグ……当時はタブーとされたテーマを、ラフで生々しい線と自由な発想で描きまくった。

そこには商業も検閲も関係なし。“描きたいから描く”という純度の高い衝動がすべてで、
DIY精神・反体制・インディペンデントの象徴となり、今のZINE文化、スケート系アート、ストリートグラフィック、ポップカルチャーの一部にまで深く影響を残している。

つまりアンダーグラウンド・コミックスは、若者の「言いたいことを言う」「自分のスタイルで生きる」を形にした、ルール無視のアートムーブメントなのだ。

アンダーグランド・コミックス文化

1960年代後半、アメリカ西海岸。社会が揺れ、若者が未来を探していた時代に、商業漫画では語られなかった“本音”がじわりと噴き出しました。それがアンダーグラウンド・コミックスの始まりです。

当時のコミック業界は厳しい検閲の中で、暴力も性も政治批判も描けない“清潔な物語”ばかりでした。しかしストリートには怒りと自由への渇望があふれていました。その隙間を切り裂くように登場したのがロバート・クラム(R. Crumb)や多くの若いアーティストたちです。彼らは部屋やガレージで自主制作し、レコードショップやマーケットで手売りするという完全DIYスタイルで、社会への違和感を紙の上に叩きつけました。

やがて70年代に入り、このムーブメントは全米に広がり、コミックは娯楽を超えて、アート表現であり、自己主張であり、反体制の旗となっていきます。のちのスケートカルチャー、パンク、ZINE文化、ストリートアートにまで影響を与え、“自分の声を自分で届ける”というインディペンデント精神は、世界の若者文化へ広がっていきました。

そしてこの波は、海を越えて日本にも届きます。1970年代の日本では、商業マンガとは別の流れとしてガロ系マンガ(つげ義春、林静一、白土三平など)が存在感を放ち、静けさ・不条理・個人的な心象世界を描く独自の反主流派として確立していきました。

80年代には、内田春菊、安西水丸、蛭子能収、諸星大二郎、みうらじゅん、ねこぢる、さべあのま、根本敬、山田花子、福満しげゆき、湯村輝彦といったエッジの効いた作家たちがZINE的・私家版的な表現を押し広げ、日本独自のアンダーグラウンドコミックの文脈を作り上げました。それは過激で、時に可笑しく、時に救いがなく、しかし確かに“誰にも描けない自分だけの世界”でした。

そして現代——。SNS、同人、ZINE、自主レーベル出版。誰もが手の中で作品を発信できる今の時代の空気は、アメリカのカウンターカルチャーと日本のガロ系が長い年月をかけて残してきた“自主制作の魂”の継承だといえます。

アンダーグラウンド・コミックス文化は、若者が時代の隙間で「自分の声」をつかみ取り、世界に向けて放った自由のストーリーなのです。

アンダーグラウンドコミックスカルチャーは、「誰かが決めた正解」よりも「自分の感情」と「自分の視点」をそのままぶつけられる、圧倒的に自由な表現の場です。社会の裏側をえぐるような視点、笑える毒、ちょっと不気味でクセになる世界観——その全部が、本音で生きたい若い世代にこそ刺さります。

アメリカのカウンターカルチャーから始まった流れは、日本でも様々なアーティストたちへ広がってきました。とにかく“普通じゃない”。でも、その“普通じゃなさ”にこそ、これからの表現のヒントが詰まっています。自分の世界を、自分の線で描きたい。そんな気持ちが少しでもあるなら、アンダーグラウンドコミックスは最高の刺激になるはずです。

エスピースでは、超刺激的なカウンターカルチャーの時代のアンダーグランドコミックスに注目しました。60年代から80年代の過激な希少アンダーグランドコミックスや作品集などのものをメインにご紹介しま〜す。普通じゃない若者におすすめです。

アンダーグラウンド・コミックス|UNDERGROUND COMIX