コレクション: モッズ|MODS

モッズ文化

モッズは、1960年代初頭にイギリスで生まれた若者文化で、都市部のティーンエイジャーや20代前半の若者を中心に広まりました。「モッズ(Mods)」とは「モダン(Modernist)」の略で、最新の音楽やファッション、ライフスタイルを追求する若者たちを指します。

ファッション面では、男性はタイトなスーツやシャープなコート、スカーフやポールカラーのシャツ、フレッドペリーのポロシャツやジャケットを身にまとい、髪型はボブカットや短めの前髪でスマートでモダンな印象を与えました。女性はミニスカートやワンピース、ジャケット、タイツやブーツなどを組み合わせ、洗練されつつも活動的で元気なスタイルを楽しみました。髪型はストレートボブや前髪ぱっつんが人気で、化粧やアクセサリーも都会的な印象を強めていました。

音楽面ではジャズやリズム&ブルース、スカやソウルを好み、クラブでのライブやダンスイベントを楽しみました。また、モッズはベスパやランブレッタといったイタリア製スクーターをカスタマイズして街を駆け回るライフスタイルでも知られ、派手なライトやミラー、鮮やかなカラーリングで装飾されたスクーターは文化の象徴でした。

同時代のロッカーズとの抗争も特徴的で、スクーターに乗るモッズとオートバイに乗るロッカーズが街中や海岸で衝突する事件が度々起こりました。これは単なる趣味の違いを超え、若者文化における価値観や世代間・階層間の衝突を象徴する社会現象でもありました。モッズは既存の社会規範やカウンターカルチャーとも距離を置きつつ、独自のスタイルと価値観を強く打ち出しました。

こうした青春は、映画『さらば青春の光(Quadrophenia)』でも描かれています。1979年公開のこの映画では、青年ジミー・クーパーが仲間たちとスクーターで街を駆け回り、ロッカーズとの衝突や個人の葛藤に直面する様子がリアルに描かれています。映画はザ・フーの音楽をサウンドトラックに使用し、モッズのファッションやスクーター文化、青春の煌めきと葛藤を象徴的に表現しています。

1960年代後半以降もモッズカルチャーは影響力を持ち続け、1970年代後半には ポール・ウェラーを中心とするThe Jam がパンク・モッズの精神を現代に蘇らせました。さらに、ポール・ウェラー率いるThe Style Council は洗練されたモッズファッションや都会的ライフスタイルを音楽に反映し、モッズリバイバルを象徴しました。また、スカや2トーンムーブメントの代表格である The Specials は、モッズとスカを融合させ、社会的メッセージを通じて若者文化の幅を広げました。

日本でも1970年代後半から1980年代にかけて、ロンドン発祥のモッズカルチャーが輸入され、東京や大阪を中心に独自のリバイバルが起こりました。フレッドペリーやドクターマーチン、タイトスーツやミニスカートを取り入れ、ザ・ジャムやザ・スタイル・カウンシルの音楽を聴きながら街に集まる若者たちが登場し、和製ファッションやカルチャーも融合させた独自のモッズスタイルが形成されました。

モッズカルチャーは、洗練された装い(男女ともにフレッドペリーをはじめとするブランド)、音楽へのこだわり、スクーター文化、自由でエネルギッシュなライフスタイルを持ち、今でも日本を含む世界の若者文化に影響を与え続けています。映画やバンド、そしてポール・ウェラーの音楽を通して、男女を問わずモッズの精神は現代の若者文化にも受け継がれているのです。