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コレクション: モボモガ|MODERN BOY・MODERN GIRL





モボ・モガ文化
1920年代末から1930年代にかけて、日本の都市部では新しい若者文化が芽吹き、それがモボ(モダンボーイ)・モガ(モダンガール)カルチャーとして花開いた。モボはダブルのスーツや帽子、革靴を身にまとい、モガはショートボブの髪型にワンピースやスカート、ハイヒールを合わせ、自由で洗練された都市的ライフスタイルを楽しんだ。彼らは映画館やカフェ、ジャズ喫茶に集い、アメリカやヨーロッパから流入したジャズ音楽やハリウッド映画、広告などを通じて新しい価値観や美意識を吸収した。
当時の都市向けのファッション誌や大衆雑誌は、モボ・モガのライフスタイルや洋装を紹介し、全国の若者たちに都会的なセンスを伝えた。また、映画では都市のモボ・モガの姿や恋愛観、夜遊びの楽しみ方が描かれ、彼らのライフスタイルを象徴的に映し出した。
このカルチャーの形成に影響を与えた人物も多い。文筆家・政治家の新居格は「モダンガール」という言葉を生み、当時の女性の新しい生き方やファッションを象徴した。ジャーナリストの北澤秀一は新聞論説を通して「モダンガール」を紹介し、都市文化と新しい女性像を結びつけた。グラフィックデザイナーの杉浦非水はポスターや挿絵を通じて洗練されたモダンスタイルを表現し、都市生活のスピード感や華やかさを広めた。日本画家の藤島武二も、都市のモダンな風景や人物を描くことで芸術の側面から影響を与えた。さらに、作家の片岡義男は後の小説作品の中で、都会的で軽やかなファッション感覚や自由な恋愛観を描き、この時代の精神を現代に伝えている。
海外からの刺激も大きく、チャールズ・チャップリンやルドルフ・ヴァレンティノといった映画スター、ルイ・アームストロングなどのジャズミュージシャンは、所作や音楽を通じて自由で都市的なライフスタイルの象徴となり、日本の若者にとって憧れの対象となった。
モボ・モガカルチャーは単なるファッションの流行に留まらず、都市生活者の価値観や消費文化、社交行動にまで影響を与え、戦後の日本の若者文化やファッションの基盤となった。その都市的ライフスタイルは、現代の日本における若者文化やファッションのルーツとして今もなお色濃く息づいている。


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