コレクション: プレッピー|PREPPY


プレッピー文化

プレッピー(Preppy)は、アメリカのアイビーリーグ(Ivy League)に通う学生たちのファッションやライフスタイルにルーツを持つ若者文化です。語源は、アメリカ東海岸の名門私立進学準備学校「Prep School(プレップスクール)」に通う生徒に由来します。プレップスクールは大学進学のための学力・教養・礼儀を身につける教育機関であり、そこに通う生徒たちの服装や生活習慣が、やがて「Preppy(プレッピー)」として認識されるようになりました。

1950年代から60年代にかけて、大学のキャンパスやニューヨーク・ボストンの東海岸を中心に広まったプレッピー文化は、上品で清潔感のある服装、スポーツやクラブ活動、礼儀正しい振る舞いが特徴です。ファッション面では、Ralph Lauren(ラルフ・ローレン)やBrooks Brothers(ブルックス・ブラザーズ)、Lacoste(ラコステ)などのブランドが象徴的で、ポロシャツ、チノパン、ブレザー、カーディガン、オックスフォードシャツといったアイテムが定番です。しかし、若者たちはこれらの「アイビールック」を自由に着崩し、ジャケットの袖をまくったり、ネクタイを緩めたり、シャツをラフに重ね着したりすることで、自分らしいカジュアルなスタイルを楽しみました。この「アイビーを着崩したスタイル」は、上品さと遊び心を両立させた若者文化の象徴となりました。

プレッピー文化は単なる服装に留まらず、ライフスタイル全般にも影響を与えました。キャンパススポーツ、ヨット、ゴルフ、テニスといったアクティビティや、礼儀作法や社交術、クラブ活動を重んじる姿勢などが若者たちの行動や価値観に反映され、自由でありながらも洗練された生活スタイルの象徴となったのです。

日本では1960年代半ばから1980年代にかけて、アメリカのプレッピースタイルが輸入され、雑誌『メンズクラブ』や『チェックメイト』、さらに『ポパイ』『ホットドッグプレス』 などの男性誌だけでなく、若い女性誌『MC Sister』 などにも掲載されました。また、1980年にアメリカで出版された『プレッピーハンドブック(The Official Preppy Handbook)』 は、リック・リプトン(Rick Lipton)とジェス・ブラウン(Lisa Birnbach)が著者を務め、プレッピースタイルの指南書として世界中の若者に影響を与えました。日本語版は1981年に初版 が出版され、日本の若者もアイビールックを着崩して自分流にアレンジすることで、「上品で知的、かつ遊び心のある若者文化」を体現しました。

今日では、プレッピーカルチャーやアイビー着崩しスタイルは、単なるアイビーリーグの学生服ではなく、カジュアルファッションやライフスタイルの象徴として世界中の若者に影響を与え続けています。